3月13日(火)から3月21日(水)に渡って、長野県佐久市より佐久長聖高等学校の生徒19名が渡米し、北カリフォルニアでの「テクノロジー研修」に参加致しました。研修では、インテルやアップル、スタンフォード大学といった世界最先端のテクノロジーを扱う機関を訪問し、世界のテクノロジー事情についての知識を深めました。
【1日目(3月13日火曜日)】天気:フレズノ-晴れ、マーセッド-雨
予定通り6時22分にフレズノ空港到着。どの生徒も疲労と緊張が原因か、表情が固い印象を受けた。慣れない環境にあたふたしていたともとれる。荷物を受け取ったのち、まずは空港内にてオリエンテーションを実施し、研修の心構えを再確認。生徒は終始真剣な眼差しで話に耳を傾けていた。10分弱のオリエンテーションを終えたのち、移動車となるリムジンバスに乗車。19時頃、フレズノ空港を出発しマーセッド大学に移動。日本では見慣れないリムジンバスに、生徒はやや興奮気味。しかしそれも束の間。やはり疲れには勝てず、車内ではほとんどの生徒が爆睡。雨が降り頻るなか、約1時間ほどでマーセッド大学に到着。図書館のロビーで雨露をしのぎながら、ホストファミリーの迎えを待つ。ロビーで待機すること20分から30分、生徒18名が無事各ホストファミリーの送迎により、各ホスト宅に向け出発。事前から送迎不可の連絡が入っていた1名に関しては、YESスタッフがホストファミリー宅までの送迎を担当。21時までに全生徒が無事ホストファミリー宅への入居を完了させる。体調不良を訴えた生徒はいなかった。
【2日目(3月14日水曜日)】天気:晴れ時々雨
9時からの語学研修に備え、生徒16名が無事各ホストファミリーの送迎によりマーセッド大学に到着。残り3名は、寝坊や大学校内での迷子により10分から15分ほど遅刻。9時15分までには全生徒が語学研修教室への集合を完了させる。語学研修の開始に先立ち、まずはマーセッド大学長と副学長より歓迎のお言葉を受ける。約10分ほどの挨拶を受けたのち、授業がスタート。生徒1名が体調不良(頭がくらくらするとの表現。熱や頭痛等は特に無し)を訴えたため、YESスタッフの送迎により、お昼前に早退。1名以外は問題なく授業を受講。この日の授業は、マーセッド大学への進学を目指す現役の語学学校生(MCELI生徒)と共に授業を受け、実際に大学進学を控える生徒たちの姿勢を間近で体感。授業では、到着日は何をしたか、ホストファミリーへの質問内容考案、スティーブ・ジョブズに関して(イノベーションとは何か、イノベーションから連想される言葉、ジョブズのプレゼン内容など)を勉強。授業の合間には、大学の学生課(ASMC)にてカレッジギフトをいただく。学生課の担当者からは、大学に関する簡単なクイズが出題され、正解者の2名へは更にTシャツが贈呈された。ギフトを受け取った生徒の顔からは笑みがこぼれた。昼食はカフェテリアの売店にて各々が食べたいものを購入。12時30分から13時の間で簡単に昼食を済ませる。
13時からは、会話中心となるカンバセーションクラスに参加。これは語学研修外の授業であり、現役大学生の参加も可能となるため、クラスには学生も数名参加。ディベート形式で行われたこちらのクラスでは、「自由とは何か」など、日本語でも返答に窮する哲学的要素をふまえたテーマが出題され、午前中のクラスより一段レベルの高い内容となった。
カンバセーションクラス終了後には、YESスタッフがオリエンテーションを実施。留学の心得え、アメリカの交通規則について、ホストファミリーとの過ごし方、マーセッド大学に在学する日本人学生の活躍に関してなどを説明。生徒からは疲労感が漂っていたが、終始集中を切らさずに聞くことができていた。オリエンテーションを終えた後は、キャンパスツアーを実施。約30分弱に渡って大学施設を見学し、17時頃、各ホストファミリーの送迎により滞在先に帰宅。
【3日目(3月15日木曜日)】天気:晴れ
本日も9時から語学研修を実施。2名を除き、生徒は時間通りに教室に集合。昨日体調を崩していた生徒1名は、時間通りに出席。しかし、授業開始から30分弱で今度は貧血に起こし、一旦YESオフィスにて休憩。休憩から1時間ほどで体調は回復し、その後は全行程に参加した。その他、時差ボケによる寝不足に悩まされる生徒が数名いた程度で、体調不良を訴える生徒はいなかった。
午前中の語学研修では、相変わらず生徒のシャイな姿が目に付く。積極的に発言を行う生徒は1、2名ほどで、大半の生徒が、先生から直接回答を求められない限り発言することは無かった。ただ、その後行ったグループアクティビティーにおいては、他の生徒と協力しながら、口数多く楽しそうに取り組んでいた。授業に不満を抱えているような生徒は未だおらず、相変わらず英語に熱心な彼らの姿が光っていた。
昼食休憩をはさんだのち、午後一番で大学のクラスの聴講を実施。ここでは、2グループに分かれ、経済学と英語の授業へ現地の学生に交じって出席した。経済学の授業では、各企業の年間総利益からみる数字の比較や、助成金の活用方法の考案についてが議題となり、それぞれの学生が各々の意見を述べた。
その後は、カリフォルニア大学マーセッド校(UCM)のキャンパスツアーを実施。現役UCM生による大学案内となったが、生徒たちにはまだ早かったのか、さほど感銘を受けている様子は見受けられなかった。昨日同様、この時間になると生徒の疲労がピークに達するため、興味を示していなかったというよりは、疲れがたまっていただけであると推測。特に大学グッズを購入するわけでもなく、記念撮影を終えたのち、マーセッド大学に戻った。
この日の最後の行程としてカンバセーションクラスを実施。チューター2名とボランティア学生1名の合計3名が担当し、3つのグループに分かれての会話中心のセッションとなった。先ほどまで疲れを見せていた生徒達だが、少人数グループにより一人一人強制的に話す機会が与えられるこちらのカンバセーションクラスでは、どの生徒も恥を欠かぬよう先生の話をしっかり聞いており、彼らの必死さは見てるこちら側にも伝わってきた。
【4日目(3月16日金曜日)】天気:雨
雲行きが怪しい4日目の朝、案の定10時過ぎから雨が降り始める。生徒はいつも通り、9時までに語学研修教室に集合。遅刻はなくなる。本日の語学研修では、翌日に予定するヨセミテ国立公園の観光に備え、ヨセミテについての知識を蓄えた。そのほか、スティーブ・ジョブズの墓地にて行うスピーチの練習も実施。スピーチの基本として、「メモ用紙を見ない」「聴衆の顔を見る」「姿勢を正す」そして「エネルギーと情熱と共に訴えかける」ことを再確認する。スピーチの練習は二人一組で30分行った。生徒の半数近くは、積極的に先生に発音や文法を確認しており、改めて彼らの真摯な姿勢を伺うことができた。30分の練習を終えたのち、一人ずつ皆の前で練習の成果を発表。全ての生徒が内容の濃いスピーチをみせ、見学に訪れていた副学長や現役の語学学校生は感嘆の様子を見せる。見ているこちらも胸を打たれるほど彼らは真剣に自身の将来に向き合っており、佐久長聖高校のレベルの高さを感じた。
12時30分から14時15分まで、カフェテリア横に位置するスタッフダイニングルームにて歓迎パーティーを実施。語学学校の先生から現役の語学学校生、ホストファミリーなど、YESスタッフを含め延べ40名が出席した。パーティーでは、ピザやお寿司(カリフォルニアロールや握り寿司)、スナックやソフトドリンクが振る舞われ、会場は終始賑わいをみせた。
14時30分からは、カンバセーションクラスに参加。カリフォルニア州立大学スタニスロ―ス校の学生であり、YESのトーフル通信強化プログラムにて教師を務める女性がこの日のクラスを担当。アメリカの高校にて行われるゲームを通して、スピーキングの強化に励んだ。その後は、マーセッド大学出身で、現在はフレズノ州立大学に在学する日本人学生による講和を聞いた。アメリカにて立派に暮らす日本人学生の言葉に耳を傾けた。
【5日目(3月17日土曜日)】天気:雨時々雲
アメリカに来て初の週末となった17日。一行は8時にマーセッド大学に集合し、バスにてヨセミテ国立公園に向かった。マーセッドから内陸に進むこと約2時間、一行を乗せたバスはヨセミテ国立公園に到着する。予報とは裏腹にヨセミテには青空が広がった。しかし連日の低い気温が影響し、ヨセミテには一面雪が積もった。10時から15時まで、なかなか見ることのできない雪をまとったヨセミテ国立公園を思う存分満喫した。
【6日目(3月18日日曜日)】天気:晴れ 終日ホストファミリーとの時間を過ごす
【7日目(3月19日月曜日)】天気:晴れ
マーセッド最終日となった7日目の月曜日。生徒は8時にマーセッド大学に集合し、8時30分にサンノゼに向けて出発。まずはアップルビジターセンターを目指した。アップルビジターセンタ-に到着したのは11時。アップル新本社の隣に位置するビジターセンターを30分ほど見学した。
アップルビジターセンターの見学を終えたのち、一向は近隣のショッピングモールにて昼食を頂いた。その後、14時からはインテルミュージアムを訪問。インテルの歴史について知識を深めた。
インテルの歴史を学んだあとは、YES代表の後輩で、サンノゼにて空手道場を営む日本人男性のもとを訪問させていただいた。ここでは、この空手道場に投資をされ、自身も生徒として道場に通われるモーゼスさんの講和を聞いた。モーゼスさんからは、「周囲の方への感謝の気持ち」と「リスクを恐れず何事にも挑戦すること」の重要性について学んだ。
【8日目(3月20日火曜日)】天気:雨
雨が降りしきるサンノゼでの2日目。8時30分にホテルにて朝食をいただき、9時30分にアップル本社に向けて出発。10時に本社に到着したのち、まずは本社に併設されているアップルストアを簡単に見学。10時30分に、アップルにて勤務される日本人社員の方と合流し、社内のカフェテリアに移動。4つのグループに分かれ、それぞれのグループに社員の方が1名ずつ付きながら、質疑応答形式で会社に関する説明を受ける。知られざるアップルの真実や社員の方の興味深い経歴に、生徒は興奮を隠しきれない様子を見せた。社員の方との交流は約1時間30分に渡って行われ、昼食もそちらで頂いた。最後は、創始者であるスティーブ・ジョブズの看板の前で記念撮影を行い、アップル本社を後にする。
13時からはスタンフォード大学を見学。キャンパスツアーを担当して下さった女子サッカー部のアシスタントコーチを務める日本人男性のもと、約1時間強に渡ってアスレチックデパートメントやメインキャンパスなどを見学。全米一の敷地面積を誇る広大なスタンフォード大学の広さに生徒は驚きを隠せない様子。イタリアから建築材料を取り寄せたという芸術性の高い歴史ある大学の建造物は、生徒を終始魅了した。
約2時間に亘る充実のスタンフォード大学ツアーを終え、サンノゼ最後の研修先となるスティーブ・ジョブズの墓地、アルタ・メサ記念公園へ。ここは特定宗教に属さない墓地であり、多くの著名人が埋葬されている。彼の場合は墓標を置かないスタイルで埋葬されており、親族の希望により、公園内のどの場所に埋葬されているのかも公開されていない。ただ、この墓地のどこかにかつて、革新的なアイデアを世界に発信し続けたジョブズが埋葬されていることは間違いない。生徒たちは公園内の一角にある、モニュメントに向かってスピーチを行った。少し声が小さい生徒が多かったが、皆マーセッドでの研修で練習した成果をしっかりと発表した。将来への希望に満ち溢れた若者たちの声は、きっとジョブズにも届いたことだろう。
【9日目(3月21日火曜日)】天気:雨
最終日。この日はサンフランシスコへ移動し一日観光。サンフランシスコの象徴ともいえるゴールデンゲートブリッジから始まり、ロンバート通り、コイトタワーと主要な観光地を周り、最後はピア37とフィッシャーマンズワーフへ。最終日という事で午前中は疲れも見えたが、世界有数の観光地であるサンフランシスコの街並みに圧倒された様子。チャイナタウンにて夕食を取りながら、YES代表の話にしっかりと耳を傾けていた。ホテルに戻った後は、修了式。今回研修に参加した生徒の中から何人かだけでも、何か刺激を受け、学び、自分の中で意識が変わった、という生徒が出てきてくれればいい。親に頼るのではなく、自分の意志で道を切り開いていってほしい、といったメッセージと共に、全ての生徒に修了証が渡された。生徒たちの中には、来た時から明らかに顔つきが変わった生徒もいた。今回のプログラムをどう自分の人生に活かしていくのかは、生徒によって一人ひとり異なるはず。小さな枠組みに囚われず、世界に飛び出していく生徒が一人でも多く出てくれることを願う。